サックス演奏 〜DANCE KARAOKE LIVE! 2005〜


少年ハート編

全ての始まりは★さん(仮名)エントリー曲「少年ハート/HOME MADE 家族」の打合せメールでの何気ない一言だった…

★>音源はCDのインストがあったので、そっちを使うことにしました。

今回のステージにはカラオケがないため、DAM音源を録音して持ち込む場合が多かったところにこの発言。
まさかこの何気ない一言からサックス演奏にまで発展するとはこの時は思いも寄らなかった。

ア>これかなりいいですね! 生のホーンセクションの魅力が十分に発揮できるし。
ア>後半に入る前のソロとか実際に楽器取り出してやったりしたらスゲーカッコいいだろうなぁ、とか妄想w

今思い返すと、この時からサックス演奏の夢は現実へと走り出していたのかもしれない。

★>いいっすねー。
★>あっ、ホーンセクションに入ったら、それまで後ろに控えてたアさん(仮名)が前に出て、”エアサックス”をかますってのはどうでしょ?w
★>てか、ここだけ誰か他の人にお願いしても盛り上がりそうですね。(その場合は本物のサックスがあった方が様になるかな)

これが★さん(仮名)お得意の囁き術というやつらしい… この時点でこのおいしい役を他の人に譲るという選択肢はありえない。
思春期に見たバービーボーイズのコンタ、Luv 4のCMで気になり一時期ハマったダルファー(父親→娘)等、サックスに関しては浅い関わりしか持っていなかった。
しかし、気が付くとハードオフでアルトサックスをガラス越しに見つめている自分がいた。 気分はガラス越しにトランペットを見つめる黒人少年。
が、吹けもしないサックスにそんな大金を払う勇気はなかったので、ここはやはり「エアサックス」でいくしかない。

ア>そんなオイシイことやっちゃってホントにいいんですか?w
ア>練習しちゃいますよ。 取り敢えず、今左手の親指を咥えて練習中。 あ、スゲーやりたいかも。
ア>本物のサックスはちょっと欲しいなぁと思ったけど、何十万もしますねー

正直に言うと、この時点では「やりたいかも」なんて生易しいレベルではなかった。 ステージでサックス演奏する自分の姿をイメージすると心が震えた。
こうしてサックスのイメージトレーニングが始まる。 しかし、ここでエアギターにはない、エアサックス独自の問題点に気付く。
管楽器の場合、口で吹く動作が必須となるが何も咥えない状態では明らかに締まらないのである。
見た目もそうだが、気分的にも魂を注ぎ込んでいる感が全く出ず、間の抜けたものになってしまう。
そこで、左手の親指を咥えながらプレーするスタイルを思い付き練習するに至った。

★>おっ、ノってくれるなら是非やって欲しい〜♪
★>ホーンセクションに入ったらサングラスかけて、前で”エアサックス”!
★>頭の中でイメージすると、本物よりもむしろ”エアサックス”の方が盛り上がると思うんだよね〜。
★>それこそのけぞったり、最後は床に寝転がるくらいの勢いで。(笑)

気が付くと凄く細やかな要求(圧力)が来ていた。 「寝転がる」 あの短いソロでそれは…
何度も繰り返し聞いたサックスソロのイメージが「寝転がる」を許してくれないと感じた。
演奏のイメージがもっと激しければ喜んで寝転がるところだが、泣く泣く諦めることに。

ア>のけぞるのはデフォですが、あのソロで床に寝転がるのはやり過ぎかと。
ア>でも、何気にサックスの演奏って曖昧な記憶しかないんですが、そんなんでも大丈夫ですか? 指使いとか超テキトー。
ア>もし、何かいい映像の心当たりありましたら教えてください。

イメージトレーニングを始めるも、元となるサックス演奏のイメージが非常に曖昧なことに今更ながらに気付く。
ネット等、心当たりをくまなく探しても、中々思うようなサックス演奏の映像が見つからない。
お行儀のいい演奏ならいくらかはあったが、求めているのはもっとラフでファンキーなものなのだ。

★>じゃあ、のけぞるデフォでお願いします。w
★>まぁ、ここはアさん(仮名)に前面で目立ちまくってもらえれば・・本望っす。(笑)
★>(サックス演奏の映像は)探してみるけど、見つからなかったらイメージでお願いします!

この時点で曖昧なイメージ演奏に決定。 探す当ては同じだったのだ。
これ以降、本番までイメージ演奏は全く進化することはなかった。

そして、ネットでいろいろ調べるうちにまたエアサックスの重大な問題点に気付く。
一時期は自分の中で左手の親指を咥えるスタイルに落ち着いたのだが、サックスの画像を見ると予想以上に大きいのである。
指の位置は胸辺りなので、どんなに指が長い人でも口に届くわけがない。 指を咥えてやると、あまりにも小振りで貧相なサックスに思えてしまうのである。
「ドッシリとした存在感のあるサックスでプレーしたい」という気持ちと「咥える部分と指の位置の距離」という現実の狭間で悩む。
せめて何かを持って咥える部分まで延長できないだろうか… と、自宅でそれらしい形のものを探すも見当たらず、しばらく時が経つ。

そんな中、自エントリー曲のデモ音源録音のため、一人カラオケボックスに向かう。
ほぼ満足の出来に気をよくし、何かステージで使える小道具がないかと100円ショップを物色することに。
そこで運命的な出会いを果たす。


見よ、この曲線美! これぞ求めていたフォルムそのものではないか! (ちなみに、実際の用途は肩のツボ押し)
これの咥える部分の余分を切り取って左手に持てば、俺を悩ませ続けた「咥える部分と指の位置の距離」が解消されるではないか。
この運命的な出会いに感謝しつつ、店内を進むと更に衝撃的な出会いが!!


この絶妙な広がり具合!! 正しくサックスに生まれ変わるために作られたものに違いない!!
思いもかけず、サックスに生まれ変わるためのアイテムを二つも手に入れてしまった。 それも口に咥える部分と音が出る部分。
そう、サックスの音の流れにおける「始まり」と「終わり」を構成するアイテムを奇跡的にも手に入れてしまったのだ。
こうなったからには、「全てを作らなくてはならない」という使命感が芽生えることは必然。 後は導かれるまま…

ドッシリとしたボディーを形作る「やわらかバット」
輝くボディーを演出する「金色の包装紙」
細やかな指使いを際立たせる「マグネット」

全てのアイテムがサックスに生まれ変わるため、買い物カゴへと投入されていく。(合計税込 525円)

かくして、運命の出会いに導かれるまま、サックス作りに踏み切ったのであった。

ア>今日、自エントリー曲のデモ音源(修正版)をカラオケ屋でレコーディングしてきたんですが、帰りに100円ショップに寄ってみたら
ア>正にサックスを作ってくれと言わんばかりのいい形のブツがあったので、ついつい自作してしまいました。(製作時間2時間弱)

ア>以下、自作サックス完成記念ページw
ア>http://akira.s33.xrea.com/karaoke_posse/temp/sax.html

ア>ちなみに、ドンキホーテで「君にBUMP」用の小道具も入手済み。
ア>何か本来とは別のところに力を入れている気がしてきたw

別なところに力を入れる。 それは合わせ練習の時も同じで、サックスをソロが始まる直前の絶妙なタイミングで取り出せるようイメージトレーニングに勤しむ。
早すぎるといけない、遅すぎるともっといけない。 このチキンレースにも似た限界ギリギリの自分との闘い。
もっと他に力を入れるべきところがあるだろう、と人は言うかも知れない。 だが、この数秒が狂うとサックス登場のサプライズ効果が薄れることは必須。
ストラップを首にかける時間に余裕を持たせ、慌てなくても間に合うよう綿密に行動開始のタイミングを計る。
この時点で取りに行けば絶好のタイミングでサックス登場だというポイントを掴んだはずだった。
本番、★さん(仮名)が書いた通りにサングラスを用意し、ステージ入口の黒いカーテンにサックスを隠蔽し、準備万端。
そしてサックスソロ前のフックに突入。 が、行動開始直前にある重大なことに気付いてしまった。
反復練習時、サングラスをかける時間を想定していなかったことに。 コンマ数秒の葛藤の末、サングラスを諦めることに。 この素晴らしい英断に自ら拍手を送りたい。

別なところに力を入れる。 いや、少なくとも自分だけは分かっている。 力を入れたところは「別なところ」ではないのだということを。
この数秒に賭ける意気込みこそがステージの原動力となりうるのだということを。


以上のような流れで、サックスを自作することになり、メンバーだけに見せるためにこのページの原形を作ったのである。
ダンカラ5が終わって一週間。 あの瞬間の感動を思い起こしながら、こうして導入部を新たに加えて公開するに至る。
そして、次のページこそがその時に作ったものである。